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社内向けポッドキャストの始め方は?
社外向けとの違いと、社員だけに届ける方法

社内向けポッドキャストを始めるときに、社外向けの番組と何が違うのか、社員だけに届ける3つの配信方法、話す内容の選び方、効果の見方を整理します。
最初の3ヶ月の流れを架空の例でも示します。

田島 一希株式会社オトポート 代表取締役

この記事の要点

  1. 社内向けの番組は、聴く人・話す内容・配信の方法・効果の見方が社外向けと違う
  2. 配信は「社内ポータル」「限定配信のサービス」「動画サービスの非公開」の3つ。社員だけに限っても、社外に伝わると困る話はしない
  3. 聴く時間の扱いと、聴いた記録を何に使い何に使わないかを、始める前に決めて社員に伝える

社内向けポッドキャストとは、経営者の考えや社員の仕事を、社員に向けて声で届ける番組です。社内報や全社メールと違い、スマートフォンで聴ける形にすれば、通勤中や休憩の合間にも聴いてもらえます。パソコンの前に座る時間が少ない現場や拠点の社員に、文章とは別の経路で届ける手段になります。

社外向けの番組との大きな違いは、聴く人が社員に限られることです。そのため、始めるときは「誰に、何を届けるか」を決めたうえで、社員だけに届ける配信の方法を選びます。Apple Podcasts や Spotify に公開すると、社員以外の人も聴けるようになるためです。

社外向けの番組と、何が違うか

同じポッドキャストでも、社内向けの番組は、次のように設計が変わります。

比べる点社外向けの番組社内向けの番組
聴く人顧客・取引先・採用の候補者など、会社の外の人社員(グループ会社やパート・アルバイトの人を含めるかは、会社が決める)
目的会社を知ってもらい、信頼を積み上げる経営の考えや、部署をまたいだ取り組みを共有する
話す内容社外の人にも分かり、社外に出してよい話社内の制度の背景や部署の状況など、社員に向けて踏み込んだ話
配信の方法Apple Podcasts や Spotify などに公開する社員だけが聴ける方法を選ぶ
効果の見方聴かれ方の数字と、商談や採用の場での変化聴かれ方の数字と、社員の感想や社内での話題

社員だけに限る理由を、はっきりさせておく

社員に聴いてほしい内容でも、社外に出して困らない話であれば、一般に公開する選択肢もあります。公開すれば配信の仕組みは簡単になり、採用の候補者や取引先にも聴いてもらえます。

社員だけに限る意味があるのは、社員に向けて踏み込んだ話をしたい場合です。たとえば、新しい制度をなぜ導入したのか、ある部署がいま何に苦労しているのか、といった話は、社外の人に向けて話すときとは言葉の選び方が変わります。社員が気兼ねなく出演できることも、社員だけに限る理由になります。

ただし、社員だけに限っても、聴いた人が内容をメモしたり録音したりすることまでは防げません。未公開の業績や取引先の名前、個人が特定される話など、社外に伝わると困る情報は話さない、という線引きは別に決めておきます。

社員が聴き続けるのは、自分の仕事に関係がある話

社内向けの番組は、会社が知らせたいことを並べるだけだと、社員にとっては「聴かなくても困らない番組」になりがちです。社員が聴き続けるのは、自分の仕事や職場に関係があると感じられる話です。たとえば、次のような回が考えられます。

  • 経営者が、新しい方針や制度を文書で発表したあとに、なぜそう決めたのかを補う
  • ある拠点の仕事を、そこで働く人が紹介し、ほかの拠点の社員に知ってもらう
  • 新しい制度やシステムの使い方を、担当者が質問に答える形で説明する
  • 表彰された取り組みを、担当したチームが振り返る

社員から質問や話題の希望を集める窓口(社内チャットのチャンネルやフォームなど)を、番組の案内とあわせて用意しておくと、番組が経営からの一方通行になりにくくなります。

社員だけに届ける、3つの配信方法

社員だけに届ける方法は、大きく3つあります。どの方法を選ぶかは、社員がふだん使える手段かどうかと、会社の情報管理のルールに合うかを、情報システム部門と確かめてから決めます。

1. 社内ポータルや共有ドライブに、音声ファイルを置く

社内で使っているポータルサイトやファイル共有のサービスに、音声ファイルを載せる方法です。新しいサービスを入れずに始められるため、まず試してみたいときに向いています。

一方で、ポッドキャストのアプリで聴くわけではないため、新しい回が出たことは、メールやチャットなど別の手段で知らせる必要があります。途中まで聴いた続きから再生しにくいこともあります。スマートフォンから社内のシステムに入れない社員がいる場合は、移動中に聴いてもらうことも難しくなります。

2. 限定配信のサービス(プライベートポッドキャスト)を使う

ポッドキャストの音声を置いて配信するサービス(ホスティングサービス)の中には、社員だけが聴ける番組をつくれるものがあります。たとえば海外の Transistor などです[1]。料金や日本語への対応はサービスによって違うため、導入の前に確かめます。

多くのサービスでは、聴く人ごとに専用の配信アドレス(番組の新しい回をアプリに届けるための URL。RSS フィードと呼ばれます)を発行します。Transistor の場合は、社員を登録すると、聴き方を案内するメールが自動で届く仕組みです[1]。

社員はそのアドレスを、ふだん使っているポッドキャストのアプリに登録して聴きます。たとえば Apple Podcasts のアプリには、URL を使って番組を手動で追加する方法があります[2]。新しい回が出るとアプリに届き、続きから再生することもできます。

すべてのアプリで聴けるわけではない点には注意が必要です。たとえば Spotify では、こうした専用の配信アドレスを手動で登録できないと、Transistor は説明しています[1]。

3. 動画サービスで、見る人を限って配信する

社内で動画共有のサービスをすでに使っている場合は、そこに音声や収録風景の映像を載せる方法もあります。

このとき注意したいのが、公開範囲の設定です。たとえば YouTube の「限定公開」は、検索などには表示されませんが、リンクを知っている人なら誰でも見られ、共有もできる設定です[3]。社員だけに限りたい場合は、「非公開」にして見る人をメールアドレスで指定するなど、見られる人を指定できる設定を使います[3]。

3つの方法の比べ方

3つの方法の違いを、表にまとめます。

方法良い点気をつけること
社内ポータル・共有ドライブ新しいサービスがいらず、すぐ始められる新しい回の知らせは別に出す。スマートフォンで聴けない社員がいることも
限定配信のサービスポッドキャストのアプリで、新しい回が届き、続きから聴ける利用料がかかる。聴けないアプリがある。社員の登録と解除の作業がいる
動画サービスの非公開すでに使っているサービスなら、追加の費用がかからないことも「限定公開」は誰でも見られる。見る人の指定と解除の作業がいる

どの方法でも、私物のスマートフォンで聴いてもらうかどうか(会社の端末のルールと合うか)と、退職や異動のときに聴けなくする手順は、あわせて決めておきます。

聴く時間を、業務として扱うか

社内向けの番組を始める前に、人事・労務の担当者と話しておきたいのが、聴く時間の扱いです。通勤中や休憩中に聴いてもらうことを前提にするのか、勤務時間の中で聴いてもらうのかを決めます。

聴くことを業務として求めるなら、勤務時間の中で聴ける時間を用意します。任意で聴いてもらうなら、案内のときにそのことを明確に伝えます。

工場や店舗など、作業中にイヤホンを使えない職場もあります。そうした職場では、朝礼や休憩室で流す、昼休みに聴ける時間をつくる、といった届け方も考えられます。

効果は、聴かれ方と社員の声の両方で見る

聴かれ方の数字では、再生された回数だけでなく、届いてほしい社員に届いているかを見ます。たとえば、工場や営業所の社員に届けたい番組なら、拠点ごとの聴かれ方が分かると、案内の仕方を見直すきっかけになります。どこまで細かく分かるかは、配信の方法によって違います。

社内向けの番組ならではの注意点が、聴いた記録の扱いです。限定配信のサービスでは、聴く人ごとに配信アドレスを発行するため、誰がどの回を聴いたかが分かる場合があります。こうした記録を何に使い、何に使わないか(たとえば、人事の評価には使わない)を決めて、社員に伝えておきます。聴いたかどうかを見られていると感じると、番組そのものへの信頼を損なうおそれがあるためです。

社員の声は、短いアンケートや、寄せられた質問の数、会議や雑談で番組が話題に出たかどうかで確かめます。

架空例:ある会社の、最初の3ヶ月

ここまでの決めごとを、架空の会社の例で、最初の3ヶ月の流れにして見てみます。

説明用の架空例

従業員300人ほどの製造業の会社で、工場と営業所が全国に5か所あるとします。社長のメッセージは社内報と全社メールで伝えてきましたが、工場や営業所の社員はパソコンを開く時間が少なく、方針の背景が伝わりにくいことが課題でした。

そこで、広報の担当者1人が事務局になり、月に1回、1回15分ほどの社内向けの番組を始めることにしました。配信は、社員の多くがスマートフォンで聴けるように、限定配信のサービスを選びました。私物のスマートフォンで聴くかどうかは社員に任せ、聴くことは任意としました。工場では作業中にイヤホンを使えないため、昼休みに休憩室でも流すことにしました。

社内向けの番組を始める、最初の3ヶ月(架空例)

上の架空の会社が、事務局と出演者で何をするかを月ごとに示しています。かかる期間は、会社の体制や配信の方法によって変わります。

  • 事務局(広報の担当者)
  • 出演者(社長・社員)
  1. 1ヶ月目(準備)

    事務局目的と話す範囲を決め、情報システム部門・労務の担当者と、配信の方法と聴く時間の扱いを決める

    出演者社長が初回の話題を選び、1回目を収録する

  2. 2ヶ月目(配信を始める)

    事務局朝礼と社内チャットで聴き方を案内し、1回目を配信する。休憩室でも流す

    出演者工場の社員が自分の職場を紹介する2回目を収録する

  3. 3ヶ月目(振り返る)

    事務局2回目を配信し、3問ほどの短いアンケートで感想と質問を集める

    出演者集まった質問に社長が答える3回目を収録する

出典:説明のための架空例。実在の会社の事例ではありません

この例のように、最初の月に「話す範囲」「配信の方法」「聴く時間の扱い」を決めておくと、配信を始めてから迷うことが減ります。3ヶ月目に集めた社員の声は、次の回の企画の材料になります。番組の長さや配信の頻度の決め方は、社外向けの番組と共通する部分が多いため、記事「企業ポッドキャストの始め方は?企画から初回配信までの7ステップ」も参考にしてください。

出典

  1. Transistor「How to Create a Private Podcast」
  2. Apple サポート「Follow shows in Apple Podcasts on iPhone and iPad」
  3. YouTube ヘルプ「動画のプライバシー設定を変更する」

この記事を書いた人

田島 一希たじま かずき株式会社オトポート 代表取締役。2015年にポッドキャスト制作事業を始め、これまでに50番組・6,000エピソード以上の企画・制作に携わる。

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